194.仔ヤギとオオカミ The Wolf and The Kid 日本語訳 牧草地からの帰り道、群からはぐれた仔ヤギが、オオカミに狙われてしまった。 仔ヤギは逃げられないと観念すると、オオカミに向かってこう言った。 「あなたに、食われる覚悟はできました。でも、死ぬ前に一つだけお願いがあります。 私が踊れ るように笛を吹いてくれませんか?」 オオカミは仔ヤギの願いを叶えてやることにした。 こうして、オオカミが笛を吹き、仔ヤギが踊っていると、 イヌどもがその騒ぎを聞きつけて走 って来た。 オオカミは逃げる時に、仔ヤギをチラリと振り返ってこう言った。 「こうなるのも当然だ。屠殺しかできないこの俺が、お前を喜ばせようと、 笛吹きなどに転向せ ねばよいものを……」 タウンゼント版イソップ寓話集より